ALSを考える

ecochem2005-02-14

先日,

を入手して斜め読みしたところ。立岩さんのサイトarsvi.comにも書籍情報ほかが掲載されている。なお,同サイトは以前は<生命・人間・社会>という名称で,このタイトルのふさわしい幅広い内容を追跡し続けている。
膨大な資料でこの問題の多面的な難しさを知ることができ,巻末の詳細な索引は有難い。

    ※ただし,「新潟市民病院 249」とあるのはp.277の間違いか(日本ALS協会新潟県支部に関する記載)。地元の情報はやはり気になる。
立岩さんの著作に関しては,

の中の小泉義之さんの対談『生存の争い』や,
弱くある自由へ―自己決定・介護・生死の技術

を読ませてもらっているが,ご自身で郵送サービスをされているのもなかなかできることではない。
ホーキング、未来を語る
だんだん筋肉が動かなくなるALSという病により,Input/Output(I/O)する存在である生物のOutputする能力が奪われてしまうのは極めて不当なものである。わずかに動く部分を使ってコンピュータを操作して意思表示を続けている方もいるが(“車椅子の天才物理学者”と称されるホーキング博士の存在はとても大きい),それさえできなくなれば本人も周囲もどのようにしたらいいと言うのだろう。
的外れな例かもしれないが,熱力学で“通常の条件で化学反応が起こる時に系のする仕事は体積の変化によるものだけである”と習い,圧力pが一定の場合は体積変化△Vとの積,p△Vが仕事つまりエネルギーに相当すると習ったときは新鮮な印象があったのだが(化学を習った人は,理想気体の状態方程式p△VnRT を思い出してほしい),生物の運動も筋肉の体積変化によって仕事をしていることになるのだろう。もちろん体内でも心臓の鼓動や,ミクロにはタンパク質の体積変化などがあって仕事がなされている。

上記のような本を読み,またOutputということを考えた上で,今日のニュース,

を聞いて,当事者も周囲も間断なく「生きる意味」を問い続けなければならないであろうその重さに,さらなる学びの必要性を感じている。
なお,ALSの原因と治療法を見出す研究が続けられているが,最近の研究例として以下をあげておきたい。

また手元で詳しいものとしては次の書籍があった。
分子神経薬理学―臨床神経科学の基礎

  • ネスラー ほか編,樋口宗史・前山一隆 監訳,「分子神経薬理学 ―臨床神経科学の基礎」,西村書店(2004) …bk1情報

    ※追記(2005/08/23):立岩さんの『ALS』:書評・紹介ページに,この書き込みが紹介されているのに気付く。