水と硫化水素(泥湯温泉の事故)

ecochem2005-12-30

硫化水素ガスが原因と見られる昨日の泥湯温泉での事故,父親だけでも助かって欲しいという願いもかなわず,ご一家4人が亡くなられてしまった。6歳と8歳のこどもたちも楽しみにしていた旅行だと思うと本当に胸が痛む。

硫化水素は図のように水のH2Oの酸素が,周期表ですぐ下の硫黄に置き換わったH2Sという分子(数字はO-H間,S-H間の距離で,1Å=10-10m;周期表の原図はこちら)。三宅島でも硫化水素の濃度により警報が出されることが知られている。
弘前在住時代に行ったことのある恐山温泉など,硫化水素泉では切っても切れない関係の“卵の腐ったようなにおい”で知られ,以下にも入っている。

一昨日紹介した山賀さんの,

の中にも海底熱水噴出孔から硫化水素ガスが噴き出していることが書かれているが,硫黄細菌はなんとこれをエネルギー源にしていて,高校生物の教科書でも取り上げられている。大気中に酸素が無かった時代には,このような生物が主流だったのだ。

なお,上の山賀さんが運営している,

でも今回のことが話題になっており,理科実験でも硫化水素発生の事故が度々起こることなどが紹介されている。以下はその中の1つから。

身近には危険がたくさんあることを思い出させられる事件で,ご冥福を祈るばかりだ。