ブルーバックス「「複雑ネットワーク」とは何か」

Web2.0という語に象徴されるように,世界の隅々に染み渡り続けているインターネットという網の目を考える時,その存在自体がこれまでになかった“もの”を再生産していることに,もはや疑う余地はない。
そのこと分析するには様々な切り口があるだろうが(例えば2006/02/05に書いた社会学からの接近方法など*1),数理科学分野からの真っ向勝負という本が出た。
「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ (ブルーバックス)

グラフ理論やニューラル・ネットワークなどは計算化学分野でも不可欠なものであるけれど,“複雑ネットワーク”研究という武器で,古典的なすごろくから現代のホットな問題である感染症パンデミックって知ってますよね?),さらにはニューロンとタンパク質という生命体*2や,“黒幕”など社会システム(養老孟司さんのいう“世間”?)にまで食指を伸ばす。p.164〜ではmixiもしっかり俎上に載せている。
で,p.95〜の『ベキ側』は多分ロングテールと関係していそうだし,p.102〜の『スケールフリー・ネットワーク』のBAモデルの話では,昔別の意味で作成した以下の図をつい思い出してしまった。


そんなこんなで,私自身が普段ネットで試行錯誤しながら漠然と考えていることを整理してもらったような印象もある。多くのネットワーカーに読んで欲しい1冊である。

*1:同記事で上げた本を含め,今日になってasahi.comに転載された先日の書評記事も是非ご一読を!

*2:2005/02/19の「心の社会」や,別ブログ記事であげた「細胞内タンパク質の社会学」をつい思い出した