ビスフェノールAの1日

ecochem2007-09-12

毎週水曜日の作業でRCSB Protein Data Bankで公表されたPDBデータ(今日は113件)を見始めたら,2件目の“estrogen-related receptor”と“bisphenol A”という単語が目に飛び込んできて,早速以下のページを作成した。「今週の分子」はほぼ1年ぶりの更新になる。


水俣病と並んで,合成化学物質あるいは非意図的生成化合物と私たちとの関係を考える上で環境ホルモン問題は,今でこそ話題としては下火だが象徴的な存在であり,昨日の新規環境汚染物質の問題とも繋がっている。大量生産されて身近に漂っている多種多様の化合物がヒトを含めた生物全体の体内にも入り込んでいることは厳然たる事実であるし,それがどのように影響しているかは今の科学ではうかがい知れない部分も多い。しかし,着々と研究が進められているのを教えてくれるのが冒頭のデータとその紹介ページに掲載した諸資料である。
私のサイトの中でも早期から立ち上げて多くのアクセスやリンクをいただいている,

のトップ画像は1997年の公開当初からビスフェノールAであり(冒頭の画像),その構造については複数のコンテンツの中でいろいろな画像によって呈示してきている。
そのビスフェノールAと受容体との結合性はこれまでも報告されているが,それがPDBの構造データとして示されると,一層切実な思いに駆られてしまう。
“科学技術と社会”という視点において,有害な化合物を合成・生産するのも科学だし,その分析(環境ホルモン研究においては例えば超微量分析が必須である)や影響を解析するのも最新の科学だということをきちんと認識した上で,それをどう駆使していくのかをみんなで考える時期なのだとつくづく思う。