こども達への化学物質の影響に関する研究の最新情報

ecochem2008-05-11

昨日のエントリーの本と一緒に買ってきたのが以下の本。3月号なので今まで見落としていたことになる。
Biophilia (ビオフィリア) 2008年 03月号 [雑誌]

井上さんによる総論の図7のタイトル“低用量問題と胎生期”に象徴されるように,形態形成期にある胎児への化学物質の影響が特集のメインテーマになっている。


p.12図7掲載の本(国連)

※参考:Googleによる“胎生期ウィンドウ OR 胎生期ウインドウ”検索結果

2007/11/16に記した,

の中でも化学物質の内分泌かく乱作用の研究方法の確立自体がまだ途上にあることが語られていたが(欧州のREACHなど),次々と新しい知見が得られていると同時にまだまだわかっていないことは多いと言える。特に途上国における高濃度の化学物質汚染とその地球規模での拡散が気にかかる。
同誌掲載の解説に直接関係しないが,RCSB PDBで久々にPCB関連の分子を含むデータを探したところ,上掲書p.28にも出てくる水酸化PCB例(3,5,3',5'-tetrachloro-biphenyl-4,4'-diol)を含むデータがあったので以下の紹介する。


水酸化PCBを含むエストロゲンスルホトランスフェラーゼの例1G3M
※トップのアニメ画像はPDBsumのデータより作成(水酸化PCBのSITE部分)
※参考:バイオレメディエーションとファイトレメディエーション

ここで話が変わるが,

に載っている

を読んだところ,次号から福岡伸一さんのエッセーが連載されるとのこと。生体内における化合物のフローという視点で,人工化学物質の問題を考える上でも貴重な読み物になることを期待したい。