こどもに及ぼす化学物質の影響を考えるシンポジウムとREACH(追記あり)

広報が遅くなったが今度の土日に東京ビッグサイトで環境問題のシンポジウムが開催され,当日まで参加受付けをしています。


今回は上京できないが,昨年は大宮が会場だったので2008/11/16に記したように日帰りで初日だけ参加し,いろいろ収穫があった。
なお,同エントリーにあるREACHについては,先日以下の資料が公開された。


この中の『B.有害性評価』(PDF)に化学物質の毒性等の評価方法が詳述されている。
その中には,
    B.6.1 物理化学的性状
      物質の登録一式文書には、一般的な物理化学的性状の大半に関するデータが、低重量レベルにおいて既に含まれている(R.7章の関連部分へのリンクが以下のリストで提供されている)。
      年間1t以上の製造・輸入

        • 摂氏20度及び101.3kPaの状態での物質の状態
        • 融点/凝固点(R.7.1.2項目)
        • 沸点(R.7.1.3項目)
        • 相対密度(R.7.1.4項目)
        • 蒸気圧(R.7.1.5項目)
        • 表面張力(R.7.1.6項目)
        • 水溶性(R.7.1.7項目)
        • オクタノール・水分配係数(R.7.1.8項目)
        • 引火点(R.7.1.9項目)
        • 可燃性(R.7.1.10項目)
        • 爆発性(R.7.1.11項目)
        • 自己発火温度(R.7.1.12項目)
        • 酸化性質(R.7.1.13項目)
        • 粒度分布(R.7.1.14項目)

このうち,オクタノール・水分配係数については以下のような説明がある。
    n-オクタノール・水分配係数(Kow)は、主要な物理化学的パラメーターの一つで、環境分配や吸着、バイオアベイラビリティ、生物濃縮、生物蓄積、人体毒性及び生態毒性のための推計モデル・アルゴリズムの多くで利用される。Kowは化学物質安全性評価(CSA)、分類・表示(C&L)及びPBT評価の重要なパラメーターであり、もっとも可能性の高い正確性で決定される必要がある。物質が純粋は無機物である場合には、Kowを決定する必要はない。
    n-オクタノール・水分配係数(Kow)は、大部分が非混和性溶剤であるn-オクタノールと自らなる2段階システムでの溶解物質の均衡濃度率として定義される(R.7.1.8項目)。Kowは中程度に温度依存的であり、典型的には摂氏25度で計測される。分子構造に基づく適切な推計手法、又は実験室試験のいずれかによって、決定することができる。文献中又はオンライン化学物質データベース中では、Kow値の予測値・計測値は様々な有機物質に対するものが見受けられる。質の高い実験から得られたKow値又は専門家レビュー済みKow値は、「推薦値」とされるが、他のKow決定よりも望ましい。
オクタノール・水分配係数(log P)は,有機概念図でも推算できるので,REACH対策・学習のためにも「新版 有機概念図」をご利用いただきたい。

計算例:有機溶媒のlog P推算(原データは共著者の佐藤四郎さん)

*1:同ページからリンクされている原典のURLが2008/12/28現在こちらになっている。