下村さんのノーベル化学賞受賞記念講演ほか

3月23日に2008年ノーベル化学賞を受賞された下村脩さんの記念講演会「天の導くままに ―発光生物と半世紀」が東京であり,朝日新聞の抽選にははずれたが日本化学会の方には当たったので,別ブログに記した3月20日開催のフォーラム参加からそのまま東京に居残って聴いてくることができた。ただし座れたのが3階席の最前列という場所で,もう少し近くだとよかったのだけれど。


GFPデータ例3gj2のChain A
GFPでは蛍光発生部分がタンパク質(黄色)の内部にあるというお話をイメージ
※同PDBデータはちょうど2009/03/24に公開されたものである!

ご講演はこれまでテレビで見ていたように真摯な研究者の淡々とした語り口で,GFP発光の実演では「きれいな色でしょ」とコメントし,パネルディスカッションでの若手研究者からの質問には「がんばれがんばれ」と答えられた中に,あたたかいお人柄を垣間見ることができた。
下図のようにGoogleで“GFP”を日本語検索すると,Wikipediaに次いで2位という状態がずっと続いているので,是非聴きたいという思いがあったのである。それに今年元旦のエントリーに記したように,GFP絡みで週刊誌のコラムに拙著が推薦されたという面子(?)もあった。

なお,日本のノーベル化学賞受賞者の講演を聴くのは4人目で,以下の3年連続受賞の際は化学会年会年会の記念講演だった。今回はうっかり化学会年会の発表申し込みを失念してしまったのだが,一般募集があって当選し助かったという次第。何れも“ライブ”で拝聴できたのはいい財産になっている。

また,福井謙一さんが日本で最初に化学賞を受賞された1981年はまだ化学会にも入会していなかった。その後計算化学のお世話になるようになり,HOMO-LUMO計算によるコンテンツ作成に取り組むなど,多大な恩恵にあずかっている。
ノーベル賞研究に象徴される科学の発達というものが,多くの人に影響を及ぼしていることを今さらながら再認識しているところである。
ところで,今回の上京の報告を以下のページにまとめた。この中に記した理科ハウスという素敵な施設でもそのことを楽しく体験できるので,是非多くの人に訪問していただきたい。


理科ハウス【世界一小さな科学館】