1538個のPDBデータ,足したり引いたり

ecochem2009-04-11

しばらく前に以下のサイトの存在を知った。名前の通り,WikipediaPDB版とも言えるもので,PDB IDを入れれば(現在 56,000 件以上),Jmol形式のモデルやPubMed情報などが表示される。キーワード検索もできるので生体分子の学習に便利である。

構造データとしては,PDBオリジナルデータから『何も足さない、何も引かない』(某ウイスキーの宣伝コピー…)ものが表示される。以下の例ではほとんど同じ構造のA鎖・B鎖が示される。


Proteopediaの表示例1el7 *1

一方,私のサイトでは,同じ構造のChainが複数含まれる場合は1つだけにして構造を見やすくしたり(もちろんペア構造等が重要な場合も少なくないが),逆にPQSの対称的な複合構造を取得したりして提示する場合もある。つまり『足したり引いたり』である。上図に示したデータをA鎖だけにしたものは以下に掲載している。


1el7ののChain A(がTe)

また足した例としては以下を示そう。昨日データ漁りをしていて,ベンゼン環に見えたものを示したものである。


PDBデータ3dxrPQSによる6量体(Chain A・B×3)

これらの例のように,データはあちこちに散在しているのであるが,Chime版ながらその大多数を収載しているのが以下のページである。冒頭のProteopediaには遠く及ばないが,現在『足したり引いたり』した1538データを収録しているおり,ボタンで多彩な表示ができるので教材としてご利用いただきたい。腕に覚えにある方にJmol利用のwiki版にしていただけるとありがたいのだけれど。

*1:がっちりマンデー「儲かる元素2」(TBS,2009/02/15)で取り上げられたTe(テルル)を含むPDBデータとして選んだもの。番組で紹介されたDVDやブルーレイディスクの塗布剤としての用途に関しては例えば以下を参照。
 ・SPring-8産業利用の現状と展望 [PDF]