「Op.ローズダスト」を読んで

2005/08/15に書いた福井晴敏さんの新作を読了。さすがと言うか,関連サイトが立ち上がっている。
Op.ローズダスト(下)
Op.ローズダスト(上)

テロ,北朝鮮,と言うと,2005/04/21で取り上げた村上龍さんの「半島を出よ」を思い出すが,昨今のアジアの情況を考えると書き手も読み手も関心を持たざるを得ないテーマであるし,流動的な因子の多い日韓関係,日中関係,日米関係,それに最近の国内の様々な動きも背景としてどう書き込むかは力量が問われるところである。それに“事実は小説より…”ということを考えれば,書いてから出版されるまでの間に,ストーリー以上のできごとが起こらないとも限らない。それは,この本で再三出てくる9.11や地下鉄サリン事件などを想起すれば十分であろう。
不確実性が高まっている時代,この小説に書かれているような事態が起きないようにするために(残念ながら,似たようなことは現在も世界のあちこちで起こっているのだけれど),無力な私たちがどのような世界を希求し続け,未来に向けてどのような“土壌”を作り上げていくべきなのか,もう一度おさらいするきっかけを与えてくれる本ではある。
ところで,作品の中心舞台となる臨海副都心,一昨日のゆりかもめ脱線事故で今日まで全面運休。これではTpexなどなくても簡単にお台場は孤立してしまうようで心もとない。以下は,「はてなマップ」で見るフジテレビである。