界面活性剤と洗剤の話題から

ecochem2007-05-30

このところ続いて雑誌やWebサイトで界面活性剤や洗剤のニュース・記事等を目にした。


同ガイド中のクイズより;詳細はGHS(環境省)参照
最初のニュースは冷暖房機器の熱媒体である水に界面活性剤を加えることでポンプ内の流れを層流化することで配管内壁との摩擦を低減させるというもの。言われてみればどうして今までやられなかったかというのが不思議。水の表面張力の大きさがエネルギーの浪費につながる場合があるという好例だろう。管内の液体の流れについては,

に最近追加された,『技術者倫理 > 事例に学ぶ技術者倫理コース > 「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故』も参考になるだろう。
なお“界面活性”という意味では界面活性剤だけでなく油も水に対してユニークなはたらきを示し,
コロイドの話 (化学の話シリーズ (8))

油が海や池の波を静めたり(フランクリンやシールズの実験など),ダムの水の蒸発を防いだりする話が出ている。
次に環境省および「化学と教育」誌の洗剤関連のコンテンツと記事では,洗剤に含まれる界面活性剤の基本的な働きを示した上で,環境に及ぼす影響について説明されている。これは洗剤が日常的に使われ,その消費量が多いことから化学物質の問題を説明する上で適した題材であるからだろう(上図下に付記した化学品危険有害性の新しい表示システムであるGHSを周知する目的もあろう)。
さて,界面活性剤と言えば上掲各資料のようによくマッチ棒で模式的に分子を示し,必ず親水基(マッチ棒の先端)と疎水基(マッチ棒の軸)を併せ持つことを表している。これは実際の分子モデルを見てもらえば一目瞭然である。

このコンテンツはJmol版であるが,以前のChime版(閲覧できる環境が限定される)では可能な下図のような2次元表示ができないため,分子のイオン性を示せないのが残念である。


参考:石ケンの例ドデカン酸ナトリウム(ラウリン酸ナトリウム)

マッチ棒が球形に集まった球状ミセルについては次のJmolページでモデル例を動かしてみることができるのでお試しを(トップの画像はここで作成)。