子ども達の睡眠不足・睡眠の乱れと生命時計
2005/02/23の日記に朝食のことで書いたこども達の生活のリズムに関連して睡眠の方では,
というニュース。人類がプロメーテウスから火をもらい,エジソンの電球の発明などを経て,暗くなったら寝るということから遠ざかることが可能になってからずいぶん時間が経ったけれど,脳を含めて生身の身体の方はそうはうまく追従できていないというのが最近の考え方のよう。
- 子どもの睡眠が危ない 〜いま大人にできること〜(NHKクローズアップ現代,2005/02/03放映)
- 瀬川小児神経学クリニック『瀬川昌也先生 学問の扉』 …上記番組で紹介された医院
- 神山潤,「眠りを奪われた子どもたち」,岩波ブックレット(2004)
“腹時計”という語に象徴される生物のリズムを刻む体内時計の研究も,その役者である生体分子の発見などで賑わっている。
- 試験管内で生物時計をつくる 〜わずか3つの蛋白質が生命の時間を計る〜(JST,2005/04/13)
- 生物の生物時計はどうやって時を刻むのか:新たなメカニズムを発見(JST,2004/11/17)
- 生物時計による24時間リズム形成機構の制御をさぐる リン酸化による生物時計分子分解のメカニズム(産総研,2004/09/06)
- 生物時計の振動発生に関わるタンパク質の構造を解明(理研,2004/05/31)
今日の画像は最後の研究で解明されたタンパク質データ(PDBデータ1V2Z)で作成したアニメーションで,目立たせてあるのが生物時計のリズム発信に不可欠とされる270番目のヒスチジン残基。これも生体分子が休みなく働いているほんの一端で,知っておいて損はないだろう。
なお,Protein Data Bankや一般的な検索サイトで“Circadian Clock Protein”をキーワードにしてデータを探してみるのもいいと思う。
関連して,理系書籍としては一世を風靡した新書とその絵本版,
- 本川達雄,「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学」,中公新書(1992)
- 本川達雄・あべ弘士,「たくさんのふしぎ 絵ときゾウの時間とネズミの時間」,福音館書店(1994)
も,まだ読んでいない方にはお勧め。
タミフルで新しいタイプのインフルエンザ脳症?
- インフルエンザ脳症に新タイプ、大阪で子供6人死亡(読売,2005/02/24)
- インフルエンザ治療薬タミフルの副作用か(さびしい避難所,2005/02/24)
- 「インフルエンザ発症後急性死亡児に対す調査」(平成15年 大阪)
- インフル脳症とは(小さないのち)
タミフル以外の要因もあるのではないかという指摘もあるが,医薬の効き目が精緻化していくことに伴うベネフィット(発熱に弱いこどもを守る)とリスクなのだろうか。生命システムの複雑さの研究を一層進めた上での,大人とこどもとの違い,あるいは個人差までを視野に入れた医療が求められている。
なお,タミフルの作用機序については以下に図などを掲載(分子参照には,要・Chimeインストール)。