埋設農薬,POPs,塩素の花

ecochem2005-11-24

今朝の朝日新聞から。新潟県でも汚染例があったとのこと。

記事中のアルドリン,ディルドリン,エンドリン,BHCDDTはすべて有機塩素系農薬で,画像はその仲間の分子で作成した“塩素の花”。

緑色が塩素原子で,このような塩素系有機化合物は天然ではほとんど生成せず,人間が大量に生産して環境中に排出したために,分解しにくいこともあって生物の世界に悪影響を及ぼし続けているのである。
有機塩素系化合物やPOPsのことも含めて,埋設農薬については以下で取り上げている。

下図はそこで掲載したもの。


記事中の元大阪大学助教授の植村振作先生は農薬の危険性を詳しく教えてくれる本をたくさん出版してくれており,次の本の農薬関連リンク集(pp.507-509)には上の農薬事典が掲載されている(旧URL)。
農薬毒性の事典

なお,PCBやポリ塩化ビニルなども含めて,有機塩素化合物が大量に生産されれるようになった背景については以下の本などに詳しい。
化学商品論序説

アスベストなども含めて有害物質の問題は,マスコミなどで話題になって対応がとられたかのように見えても決して監視の目を離してはならないと考えている。
そのことは,2005/11/20に書いたSTS学会第4回年次研究大会の講演でも強く再認識した。元素で言えばこちらは塩素ClでなくスズSnである。

    ※追記(2005/11/26):“TBTの使用禁止”について

      TBT・TPT
      TBTは有機スズ化合物。そのうち、一般によく知られているのは酸化トリブチルスズTBTO。船底、漁網などにイガイ類、フジツボ類、海藻などが付着するのを防ぐ船底・漁網防汚剤。TBTOは1990年1月に化審法による第一種特定化学物質に指定され、製造、輸入、使用が禁止されています。研究では13種類(第二種特定化学物質)あるTBTO以外のトリブチルスズ化合物のうち塩化トリブチルスズを使いました。化学式は(C4H9)3SnCl(構造式は図a)。
      TPTは同じく有機スズ化合物で、7種類あり、すべて1990年1月に第二種特定化学物質に指定され、現在は防汚剤としては使用されていません。研究では塩化トリフェニルスズ(C6H5)3SnClを使いました(構造式は図b)。