宮台さんと北田さんの「限界の思考」

マルクスも読んでいない身分で,宮台さんの「教育「真」論」(2004/11/19参照)を取り上げたつき合いで,
限界の思考 空虚な時代を生き抜くための社会学

を夜中の読書でどうにか最終ページまで辿り着いた。これでもかと出てくる名前の中で何とか1冊だけでも読んだことがあるのは(敬称略;索引があるとよかったのだけれど),上野千鶴子金子勝村上春樹フーコー(と言っても入門書),東浩紀(「動物化」の話は再三出てくる),浅田彰森毅つながり?),江戸川乱歩高橋和巳(p.80に宮台さんが中3の時に読んだという「邪宗門」の千葉潔の名前!;脚注の方の「和己」は誤植),橋爪大三郎イリイチエントロピー学会つながり;この本ではpp.123-125あたり),宮澤賢治吉本隆明高橋留美子坂本龍一細野晴臣藤原和博斎藤貴男山上たつひこ鴨川つばめ大澤真幸ゲーテ(色彩つながり),糸井重里斎藤環三島由紀夫,と言ったところだろうか。カタカナはほとんど全滅ですね。
例によって虫喰い的に自分なりの読み方しかできないけれど,まずは私的備忘録(順不同)。キーワードのいくつかは「はてな」に載っているので助かる。

  • ヘタレ
  • ネタとベタ
  • 諧謔と韜晦
  • ズラすとズレる
  • シャレのオシャレ化
  • 物理地理と感覚地理と「匂い」
  • 動物化」する社会
  • 環境管理型の支配(権力,テクノロジー
  • 役割演技と役割葛藤
  • 「解離の勧め」,「引き出しをたくさん用意した」解離的な人材(p.249)
  • “彼らにとって一番恐ろしいのは,接続に失敗すること,レスがつかないこと”(p.258)
  • “人間は壊れているという自覚”(p.292)
  • 連合国的と枢軸国的
  • “日本の社会学における数少ない希望”(p.331)
  • “ブログなどを介して”(p.388)
  • “すべては自由になるための戦略”(p.398)
  • “九〇年代は,終わったとすらいってもらえない一〇年間だった”(p.453)
  • ウィン×ウィン関係(p.461)

以上,採りこぼしもあるけれど。
ところで寡聞にして知らなかったが,どうも宮台さんは近年ある方面に“転向”していたらしく(p.102『認識上の転向,実在上の非転向』など参照),この本の主題の一つはそれを懸念している北田さんの猛烈なアタックと確認である。この転向に関しては例えば以下などあちこちで騒ぎを起こしていたらしい。

「限界の思考」のカバーには“現代思想は死んだのか!?”とある。いろいろなモノの変化が激しい中,社会学という分野が何を提示してくれるのか,半可通ながら見守り続けたい。