新タイプのエイズ薬候補とCASTp

ecochem2006-01-14

一昨日公開した今年最初の「今週の分子」。


世界中で開発が進められているHIVインテグラーゼ(ウイルスがゲノムDNAを宿主のDNAに組み込む反応を触媒する酵素)の働きを阻害するタイプの薬剤の中でも,ユニークな構造を持つ天然化合物の人工合成が可能になったというニュースを取り上げたもの。

ある種の貝やホヤなどの海洋生物から微量にしか採れなかったものが,化学合成が可能になったことで研究が加速することが期待される。同化合物の発見以前に出たので載っていない,以下の書籍を見ても海洋や土壌中などの生物には自然界にはまだまだ人間には発想できない化合物があって,いろいろな役割を果たしていることだろう。

なお,トップのアニメ画像は同化合物とは異なる阻害剤の5ClTEPを含むPDBデータ例である1qs4のA鎖から作成したもので,下記サイトでPDBのID(今回のアニメでは“1qs4A”)を入れるとそのタンパク質のポケットや開口部を教えてくれるのを利用した。SARS関連タンパク質などこれまでも利用させてもらっているので上掲ページを参照されたい。生体高分子の立体構造を解明することで,新しい薬剤などの開発が進められていることを誰でも学ぶことができるサイトということもできる。