期待されるアンチゲナーゼ(antigenase)

昨日購入した雑誌記事から。

『抗原特異性をもち,かつ酵素作用を示す“夢のような分子”』アンチゲナーゼについてその発見の歴史と基礎,そして医薬品としての展開例として,HIV撲滅・インフルエンザウイルス無力化・ピロリ菌への対応が解説されている。著者らによる資料例を参照されたい。

このうちHIV撲滅については,2007/08/12に書いたCCR5のPDBデータ例1opn(theoretical model)の第2細胞外ドメインECL2に対するアンチゲナーゼ作製について詳述されている。
また,胃炎などと関わっているとされるピロリ菌が強酸性化の胃内での定着することを可能にしているウレアーゼを分解するアンチゲナーゼについて解説されており,ターゲットとしてのピロリ菌ウレアーゼの立体構造がp.49図8に示されている。



ピロリ菌ウレアーゼ1e9zαサブユニットと活性サイトと考えられるNiイオンを保持するβサブユニット

冒頭の記事に,このヘテロダイマーであるウレアーゼが六つ重合して(α6β6)巨大分子を形成と記載されていたので,

で多量体モデルを検索したところ二十四量体(α12β12)が見つかったので,以下に掲載した。二十四量体はこのデータ集では最大になる。


PQSによる1e9zの二十四量体(Chain A・B×12)

アンチゲナーゼについてはまだ日本語の情報が少ないが,今後の研究進展に期待する。