「男」と「女」,「男の子」と「女の子」

ecochem2004-11-21

先日放映された,

は,男女で共通の器官等の病気については従来男性の研究結果などを女性にも適用してきたことの問題点がわかってきて,女性に対する医療を見直し(性差医療)が少しずつ進められているという話題。NIHの女性医療研究室(Office of Research on Women's Health)などが紹介された。
個々の生物は全体的なシステムであることを考えれば,器官や機能の一部が異なる男女間で,他の器官などでも異なった挙動を示すことは十分に考えられることで,遅きに失しているという印象も否めない。
関連で,以下の書籍は性ホルモンの働きについてわかりやすく解説したものであるが,これからだけでも性差の不思議さがよくわかる。
脳を活性化する性ホルモン―記憶・学習と性ホルモンの意外な関係 (ブルーバックス)

※画像はステロイドホルモンの生合成と代謝(3D分子表示用のChimeのインストールが必要)に掲載している女性ホルモン例・エストラジオールと男性ホルモン例・テストステロン(濃色表示)の分子の重ね合わせである。わずかな構造の違いで働きがまったく異なるのが生体分子の世界の驚異である。
また,医療に限らず環境中に放出された有害化学物質の影響も当然男女間で違いがあることは容易に推定でき,以下の本ではダイオキシン類などの影響が男性へのものが中心になっている場合が多々あることを指摘している。
リプロダクティブ・ヘルスと環境―共に生きる世界へ

そして,男女間の差異に留意すべきと同様に,大人とこどもの違い(あるいは「男の子」と「女の子」の違い)により慎重に配慮すべきであることは,これまでも述べてきた通りである。
※追記(朝日新聞,2005/01/10,「広がる専門外来 ─女性」より)