融けるセルロース!?(水素結合のコントロール)

ecochem2005-02-24

PETボトルをガスコンロやガスバーナーの火に近づけると(火事と火傷に注意!),融けて変形します。この性質を利用して細長い繊維にしたのがポリエステル繊維です。

では,木綿の繊維はどうでしょう? こげてしまって融けたりしません。
ところがその常識がひっくり返ってしまったのです。

通常では加熱しても融ける前に分子自体がこげるなど分解したりしてしまうのは,その強固な構造を支えているセルロース分子とセルロース分子の間(多数のヒドロキシ基間)の水素結合のなせる業なので,それをコントロールできればいいという発想。水素結合は共有結合より弱いけれど,DNAやタンパク質でも欠かせない結合力です。セルロースも天然の分子としてやはり水素結合をうまく利用しているわけで,高等植物の細胞壁の主成分として大きな木を支えているのもその力。なお,セルロースが地球上で最も存在量が多い有機物と言われていることも注目点です。
画像はiモードが出たばかりの頃に作成した,

のコンテンツの一つで,当時の画像の大きさやデータサイズの厳しい制限の中で作ったなつかしいパラパラアニメ。今ならぜいたくな動画も出せるのでしょうけれど。
Chimeで参照できるいろいろな高分子の分子構造は,

に掲載しています。
ところで,セルロース繊維である綿(木綿)は,人間とのつき合いが長い繊維。近年,オーガニック・コットン(有機栽培綿)が肌の弱い人やこども向けの素材として注目されているのも,長いつき合いの証でしょうか。