ナノ学会第3回大会の参加報告
2005/04/24や2005/05/09に書いたように,2005/05/08-10に仙台で開催されたナノ学会第3回大会に参加。自分のポスター発表の要旨を転載し,年会の様子を紹介するページも作成した。なお,私の発表は一般には認知度が低いと思われる広範なナノテクノロジーの最新成果を,科学コミュニケーションという視点で研究者が協力しながら広報していく必要性を述べ,その際には動画やインタラクティブなWebコンテンツが有用ではないかという訴えかけることを目的としたものである。
発表件数が300件以上と盛会で,ナノ材料・ナノバイオなど幅広い分野の現状を知ることができた。
専門家,衆議院議員(元科学技術政策担当大臣),宮城県知事,日経ナノテクノロジー編集長 というユニークな組み合わせのパネリストによる,
- パネルディスカッション「ナノテクと今後の我が国の産業育成」
が楽しめた。後述のリスクの問題も話題になりかけたのに,話が逸れてしまったのは残念。また,この前の特別講演に招待されていたSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の宮城県第一女子高等学校の生徒さん達が何人か残って聞いていたけれど,面白かったのではないだろうか。
講演・発表の中では,
にもあるように,ナノ医療の最新の状況がリアルな画像や動画で紹介されて大きな収穫だった。百聞は一見にしかず,である。
- ナノ学会第3回大会の講演者・発表者の関連資料例
- 1p-1(岡田康志さん):「〈1分子〉生物学」(岩波書店,2004) …bk1情報 ※参考(要・Chimeインストール):キネシンの例(PDBデータ3KINより)
- 岡田研究室/〈1分子〉生物学サポートページ(動画参照可能)
- 1p-5(秋吉一成さん):動的高分子ナノ組織体による生体高分子の認識・応答・機能制御 ※参考(要・Chimeインストール):シャペロニンの例(PDBデータ1GRUより),包接化合物/シクロデキストリン
- 1p-1(岡田康志さん):「〈1分子〉生物学」(岩波書店,2004) …bk1情報 ※参考(要・Chimeインストール):キネシンの例(PDBデータ3KINより)
特に秋吉さんによる,DDS(ドラッグデリバリーシステム)にも使われるナノゲルがタンパク質を活性構造のまま取り込んだり,分子シャペロンと同じような働き(高次構造が乱れて活性を失ったタンパク質の構造を復活させる)をするという話は新鮮だった。
この分野では可視化技術も不可欠な要素で,例えば一昨年発売の以下の書籍が役立つだろう。
また,欧米に比べて遅れているナノテクノロジーのリスクの予測問題については,受付で要旨集と一緒に配られた週刊ナノテク2005/05/09号がその特集を組んでいて,まさに私向けだったように感じてしまう。その特集記事も参考にして探し出したのが以下のページ。これからも成り行きを見守りたい。
- ナノテクノロジーと安全
- ナノテクノロジーと社会(JST) | シンポジウム「ナノテクノロジーと社会」講演資料
- 菅野純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部長),『ナノマテリアルの安全性確認における健康影響評価手法の確立に関する研究』
- 竹村誠洋(独立行政法人物質・材料研究機構 ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター),『ナノテクノロジーの社会的影響に関する欧米の取り組み』
- 中西準子(産業技術総合研究所),『新技術とリスク評価 ―ナノテクノロジーの場合―』
- ナノテクリスクプロジェクト(市民科学研究室)
- ナノテクノロジーと社会(JST) | シンポジウム「ナノテクノロジーと社会」講演資料