ナノ学会第3回大会の参加報告

ecochem2005-05-14

2005/04/242005/05/09に書いたように,2005/05/08-10に仙台で開催されたナノ学会第3回大会に参加。自分のポスター発表の要旨を転載し,年会の様子を紹介するページも作成した。なお,私の発表は一般には認知度が低いと思われる広範なナノテクノロジーの最新成果を,科学コミュニケーションという視点で研究者が協力しながら広報していく必要性を述べ,その際には動画やインタラクティブなWebコンテンツが有用ではないかという訴えかけることを目的としたものである。


発表件数が300件以上と盛会で,ナノ材料・ナノバイオなど幅広い分野の現状を知ることができた。
専門家,衆議院議員(元科学技術政策担当大臣),宮城県知事,日経ナノテクノロジー編集長 というユニークな組み合わせのパネリストによる,

  • パネルディスカッション「ナノテクと今後の我が国の産業育成」

が楽しめた。後述のリスクの問題も話題になりかけたのに,話が逸れてしまったのは残念。また,この前の特別講演に招待されていたSSH(スーパーサイエンスハイスクール)宮城県第一女子高等学校の生徒さん達が何人か残って聞いていたけれど,面白かったのではないだろうか。
講演・発表の中では,

にもあるように,ナノ医療の最新の状況がリアルな画像や動画で紹介されて大きな収穫だった。百聞は一見にしかず,である。
〈1分子〉生物学―生命システムの新しい理解

特に秋吉さんによる,DDS(ドラッグデリバリーシステム)にも使われるナノゲルがタンパク質を活性構造のまま取り込んだり,分子シャペロンと同じような働き(高次構造が乱れて活性を失ったタンパク質の構造を復活させる)をするという話は新鮮だった。
この分野では可視化技術も不可欠な要素で,例えば一昨年発売の以下の書籍が役立つだろう。
バイオイメージングでここまで理解る―多分子の動態パターンや1分子ごとの動きを蛍光、リアルタイムでみる! (実験医学別冊)

また,欧米に比べて遅れているナノテクノロジーのリスクの予測問題については,受付で要旨集と一緒に配られた週刊ナノテク2005/05/09号がその特集を組んでいて,まさに私向けだったように感じてしまう。その特集記事も参考にして探し出したのが以下のページ。これからも成り行きを見守りたい。