DESの事例から「予防原則」を考える

ecochem2005-06-11

2005/06/04で名前を出した書籍を読んで。

4.3節『子供の健康保護と予防原則』には以下の内容が掲載されている(化合物名等一部略記)。

    • DESと子供
    • 動物用成長促進ホルモン剤と子供
    • MTBEと子供
    • 水銀と子供
    • 鉛と子供
    • BSEと子供
    • DEHPと子供
    • 放射線の利用と子供

この中のDES(ジエチルストロベストロール)をとっかかりにして以下のコンテンツを作成。同書に出てくる化合物をリンクをたどって参照できるようにした(一番下のアニメ画像はDESを含むタンパク質例)。

以下の表は,上掲書p.142をもとに作成したDES被害の実態である。


この悲慘なできごとについては,拙著でも以下のように記載した。
パソコンで見る動く分子事典―デジタル3D分子データ集の決定版 (ブルーバックス)

    ジエチルストロベストロール(DES)は合成エストロゲンとして1938年開発され,切迫流産防止剤や経口避妊薬としてアメリカや中南米諸国で約500万人の妊婦に投与された。しかし,服用者自己免疫疾患が多いと指摘された上に,服用した妊婦から生まれた女児が成人すると生殖器に腫瘍が生じたり,男児では尿道下裂・精液異常などが生じることが判明し,1971年にようやく使用禁止となった。
多くの問題からの教訓が必ずしも活かされていない現実を踏まえ,これからの化学物質とのつきあい方を,予防原則あるいはスローサイエンスをキーワードに考え続けられたらと思う。