「科学技術社会論の技法」
昨日の熊本日日新聞の記事に,今年の日本エイズ学会では“水俣病やハンセン病などに関する講演”も行われたことが紹介されています。
エイズと水俣病の関係をみなさんはどう捉えるでしょう。
私たちの社会における様々な負の経験を二度と繰り返すまいという営みは,個々の問題が数十年という時間を経ても解決に至っていないなど,ある意味では失敗を続けている側面があります(例えば熊本の水俣病に続いて新潟水俣病が発生したというのは代表的なものでしょう)。
1つの問題には様々な要因が複雑に関係しており,ともすれば被害者救済という最大の目的が蔑ろにされた例も少なくないのが実情です。
その複雑さあるいは悲慘さを,水俣病,イタイイタイ病,もんじゅ訴訟,薬害エイズ,BSE,遺伝子組換え食品,医療廃棄物,地球温暖化,Winny事件という多様な事例から学べる本が出版されました。
2005/11/20に記したSTS学会第4回年次研究大会のセッションで発刊がアナウンスされたもので,同学会には同書の著者の多くが参加しており,毎年熱心な討論がされています。私自身,書物だけではわからないこの分野の雰囲気を肌で感じるために参加しているところがあります。
以前話題になった「知の技法」,「新・知の技法」の今という時代における続編とも言え,このブログの重要なカテゴリの1つでもある“STS”(科学技術と社会)という発想を知る上でもこのテキストを多くの人に読んでいただきたいと思います。