サイエンスアゴラ2006に参加して

2006/11/27の続き。
アゴラサイトには,

も掲載され,3日間で参加者数は延べ3715名(重複含む)とのこと。これを多いと見るか,東京という場所である上に会場として未来館も含むのだからもっと動員できなかったかと考えるかは難しいところ。日ごろ様々な“科学コミュニケーション”を実践している企画者が集まってお互いの情報交換をすることと,より親しみやすい企画を増やして一般の人たちの関心を高めることのどちらに比重を置くかという問題もあるだろう。個人的には,ブログ検索Technoratiでの“サイエンスアゴラ”検索の会期前の動向を見ていて,口コミでの動員はうまくいっていないかもしれないという感じは受けていた。今という時代,イベントには“Web2.0”の活用は欠かせないと考えている。

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開催後は,各セッション主催者を中心に様々な評価や参加報告がなされている。以下にいくつかを紹介させていただこう。

  • 「社会」不在のアゴラ(科学技術のアネクドート,2006/11/27)
    • “「明らかに集客力が足りなかった」と言わざるを得ないでしょう”という厳しい指摘。なお,同ブログの漆原さんには以前からお世話になっていて,会場でお会いできるかと思ったのだがすれ違いで実現できず残念であった。
  • サイエンスアゴラ2006をふりかえって(ACADEMIC RESOURCE GUIDE - ブログ版,2006/11/27)
  • サイエンスアゴラ2006に行ってきました。(地球を、開けよう。,2006/11/29)
    • ワークショップ冒頭で、ARGさんに「独立行政法人としてありえない、感動的ブログ!」とご紹介いただいて”とあるように,上記ワークショップ『研究のより良いウェブ情報発信に向けて』でメインの報告をされた面々による参加記録。確かにこのようないい意味で軽快なブログが公的機関で公認されて運営されているのは現在の日本では奇跡に近い。報告の中であったように公的機関(法人化された国立大学なども含めて)はその存在意義をアナウンスする義務を負っているわけで,Webでの情報発信は欠かせず,ブログなど最新ツールの活用は意味があると思う。ただ,上層部がそのことを認識している機関はまだまだ少ないだろうし,発信担当者のセンスや継続性も課題となっている。ニュースネタやテレビ番組で取り上げられた話題などに絡めて,自分たちが伝えたいことを記事にするのも読み手を増やす手段になるだろう。蛇足だが,上記ブログ記事中の会場写真の左下隅に私がアゴラでやったデモ(後述)のタイトルの一部が写っている。
  • サイエンスアゴラに参加して考えたこと(読書日記:目代邦康,2006/11/28)
    • 様々なブログ記事を読んでの考察。

その他のセッション参加など会場内外での収獲も多々あったのだが,その一端を以下の報告ページで感じ取ってもらえれば幸いである。


デモを行った東京国際交流館

で,私自身のデモの反省。昨夜,お世話になった事務局のMさんからのメールに添付されていた全セッション報告中にあった,私の自己評価は以下の通り(評価点は自己採点)。
    塗り絵で学ぶ分子の不思議
    セッション参加人数:8名
    評価:5
    コメント:若い方、親子、ご夫婦など、いろいろな方が分子の塗り絵を楽しんでくれ、このような機会を与えてくださったことを感謝します。準備、片付けのご協力に御礼!
会場スペースなどの関係で参加人数がどうなるかわからず,入れ替えも想定して60人程度の準備はして行ったのだが,ちょうど人の流れが少なくなった時間帯で少人数での実践となったが,その分中身の濃いものとなった。ふだんWebというバーチャルな場で“科学コミュニケーション”をしているので,このような場で質問なども受けながら生体分子の秘密や生命の大切さについて話をすることができたのは本当にありがたいことであった。「原子って球なの?」という思いがけない質問や(ノートPCとプロジェクタを持参していたので分子モデルの表示変更で説明),「中学生や高校生の時にこういうことを習っていたら科学が好きになったのに」という感想は,うれしいものであった。未来館国立科学博物館分子展示紹介参照)の関連展示や,塗り絵原稿に付記したURLで解説ページを見てもらって,さらに分子に親しみと関心を持ってもらえたら,と願っている。これは“学びの継続性と深化”という最近の私自身の課題についての一つの実験でもあったのだ。