こども達への有害化学物質の影響は今

今年の3月に出ていたニュースが先日再掲されていた。


このブログの名称も,自作サイトで長年取り組んできた環境ホルモン問題を追跡する中で,有害な人工化学物質のこども達への影響に対する懸念が大きかったことが背景の1つなのだけれど,ようやく本格的な追跡調査が始まるということだろう。
関連で以下のようなニュースもある。

また,先日入手した雑誌の中には中国における環境汚染の実態の一例。

    “銅梁の中央部では2004年まで石炭火力発電所が稼働しており,代表的な大気汚染物質であるPAH(多環芳香族炭化水素)を含んだ排煙が町の空気を汚していた。PAHは細胞内のDNAと結合する性質がある。”
PAH(多環芳香族炭化水素)の代表例であるBaP(ベンゾ[a]ピレン)については本ブログでも“発がん”などの観点で取り上げてきているが,胎児・乳児の段階での影響が明らかになってきている。

エントリー例(2007/12/25)
よりBaP代謝物とDNAの結合
発がん性化合物と生体分子(Jmol版)参照


参考:発がん性化合物例の有機概念図上における分布(1がBaP,2がその代謝物例)
有機概念図参照

なお,RCSB PDB収録データでBaP関連物質はDNAへの結合構造が主だが,1つだけBaP誘導体がタンパク質に結合した計算データがあったので以下に掲載する。

PDBsumデータ1em4より作成

有害な人工化学物質の生命への世界への影響がすでに取り返しのつかない状況になっていることを,以上のような情報が示唆しているように思えてならない。