性ホルモンの不思議

ecochem2005-02-22

生物は有性生殖という手段を編み出して,遺伝子のシャッフルによる進化を加速させると同時に“死”を獲得してしまったと言われる。
その性の分化を決定するのが性ホルモンで,代表的な男性ホルモンとしてテストステロン,女性ホルモンとして17β-エストラジオールが挙げられる。画像のアニメで色の濃いほうがテストステロン,うすい方が17β-エストラジオールであるが,とてもよく似た化合物であることがわかると思うが,体内では前者から後者が作られるのである。

どちらも,ステロイド骨格とよばれる複雑な環構造をもつ化合物群の仲間で,その多様な世界は以下を見るとよくわかる。

生物の世界では限られた化合物を上手にやり繰りして利用していることに,まったくもって関心させられる。この辺に人工化学物質が入り込んでしまうと,例えば上のDES(ジエチルスチルベストロールEICネット用語集参照)のようにいろいろな影響が及ぶことが懸念されるが,そのことはまた改めて。
なお,ホルモンあるいは性ホルモンを取り上げたブルーバックスには以下のようなものがあり,最近の知見なども紹介されている。
脳を活性化する性ホルモン―記憶・学習と性ホルモンの意外な関係 (ブルーバックス)
生命をあやつるホルモン―動物の形や行動を決める微量物質 (ブルーバックス)