“持続可能”から“維持可能”へ

途中まで読んでいながら夏休み中に読み終わらず,明日の環境の講義を前に早朝起きて読了。
維持可能な社会に向かって

環境問題に配慮しながらも経済的な成長を続けようとする“Sustainable Development”は「持続可能な開発(発展)」と訳されるが,それは実に傲慢な発想であり,残された道は“Sustainable Society”つまり「維持可能な社会」(簡単にはp.202の“五つの人類の課題”を見ていただきたい)をいかに構築していくのかを考える以外にないことを思い知らされる。あるいは,現在すでに維持不可能な状況に陥ってしまっているではないかということに想いを致しつつ。
私自身が少しずつ学んできたように,まだ解決していない水俣病の教訓というものが活かされず,アスベスト問題を産み出してしまっている私たちの社会のありようや現実は,また同じことを引き起こす危険性を常に孕んでいる。助けを必要としている多くの人たちの存在というものが繰り返し軽んじられる異常さを,より多くの人たちに自分の問題として認識して欲しいと改めて思う。その上で,著者が示す処方箋例を手がかりに,自分の周りを眺め回すことこそ必要だと考える。
そして,水俣病に関するここ数日のニュースに目を通して欲しい。

さらに,これも水俣病の情報であるが,今月30日に新潟市新潟水俣病現地調査が催される。同書「あとがき」でも現場を見ないで環境問題を教えることの危険性が指摘されているが,せっかくの機会を利用していただけたらと思う。

2006新潟水俣病現地調査

  • 日時 2006年9月30日(土)9:00〜17:00
  • 集合時間・場所 8:50に総合生協中央支局前集合(新潟駅から徒歩数分);解散は新潟駅
  • 内容 被害者交流会(新潟市津島屋、豊栄、安田),旧昭和電工鹿瀬工場阿賀野川流域の見学,県立環境と人間のふれあい館(新潟水俣病資料館)の見学
  • 参加費 大人3,000円,学生1,000円(バス代、資料代)
  • 備考 昼食・飲み物は各自持参
  • 終了後,懇親交流会を予定。会費は3,500円程度
  • 申込み・問い合わせ先 新潟水俣病共闘会議(TEL 025-281-2466,FAX 025-281-8101,niiheiwa@rapid.ocn.ne.jp)