アルツハイマー新薬情報へのアクセス状況

一昔前,NHKのテレビ番組における造語をきっかけに環境ホルモン情報を公開して現在に至っているが,

で紹介した海外で治験中新薬トラミプロセートという名称も,NHKによる和訳が少なくともネットでは初登場のきっかけになった。やはりこの辺は一般人には及ばない取材力である。


トラミプロセート
(Chimeによる親油性・静電性ポテンシャル表示を含むアニメ画像)

今回作成した,

へのアクセス状況を紹介してみよう。


NHKスペシャル「シリーズ 認知症 その時、あなたは 第1回」放映前後のアクセス状況

この番組でトラミプロセートを出した直後からアクセスが急増し,ネットを利用しながらテレビを見ている人が多いことがわかる。翌日になって職場などで情報を探してページを訪問してくれる人も多い。数日前までは検索しても無かったのがブログで紹介した方も数名いて情報を探す足がかりになっている。

昨日までのアクセス状況(1日あたりのアクセス数)

このグラフからは,認知症あるいはアルツハイマー病への関心が高いためか*1,年末年始のネット利用の低下時期を経て再びアクセスが復活していることがわかる。

リンク元解析(データ数が1000件に達した2006/12/26時点)

これは,上記自作ページにどこから辿ってきたかを示したもので,大多数はGoogleYahoo!での『トラミプロセート』検索によるものであることがわかる。他のルートも,同様な検索で別ページを経て訪ねてきたものがほとんどと思われる。個別ログを見ると,トラミプロセート以外の検索語としては,アルツハイマー,新薬,治験,海外,NHKなどが多かった。訪問者のドメイン名を見ると大学,製薬会社,NHK,公的機関などが少なからず含まれていた。
今回のことから,科学技術の進歩の速さに合わせた情報提供がますます必須になっており,その中でブログなどWeb2.0の役割は欠かせないことがまた明らかになったと考える。CGMあるいは集合知というものをみんなで育てていきたい。
最後にアクセス解析とは関係ないが,アルツハイマーと上の記事のALSとは脳機能の傷害という意味では共通していることに言及しておきたい。上記記事の中でも引用したエントリーにおいて紹介した書籍,

  • Eric J. Nestler ほか編,樋口宗史・前山一隆 監訳,「分子神経薬理学 ―臨床神経科学の基礎」,西村書店(2004)

の第11章『神経栄養因子』のp.214には,生存維持機能の破綻から生じると考えられる神経性疾患として,アルツハイマー病,パ−キンソン病,ハンチントン病,そしてALSの名前が列挙されているのである。

*1:先日届いた「化学と工業」2007年1号にも,OVERVIEWとして『高齢化社会の大きな課題 アルツハイマー病の早期治療をめざして』が掲載されていた。ただしトラミプロセートには触れられていない。