プロエスタグランジンはプロスタグランジンです!(CGM時代の誤情報)

オンラインの報道記事の専門用語を引用するときは自分で確認してから! という話題。アルツハイマー絡みのニュース,

に記載されている“プロスタグランジンD2”は最初,“プロスタグランジンD2”と書かれていた。これは文面を読めば“プロスタグランジン”の間違いであることは疑いない。私がプロスタグランジンに興味を持ったのは,上の画像の,

  • 雑誌特集『驚異の生理活性物質 プロスタグランジン』,現代化学 1983年2月号,東京化学同人

を読んで以来でWebコンテンツも公開している(データの追加作業中)。

プロスタグランジン研究がノーベル賞受賞につながった例もあるくらいだし,生体分子の世界では欠かせない領域になっている。

それで,これはまずいと思って毎日新聞社のサイトにメールを出そうと思ったのだがフォーム形式しか見当たらず,1回書き込んだがうまくいかなかったのか応答がなく,半日後に再度試みたら,「確認してから」という返事が来て,しばらくしてから修正された。
関心の高いアルツハイマー関連の記事ということもあり,今の時代であるからそれまでの間に多数のブログにしっかりコピペされていた。

印刷物と違ってWebコンテンツはいつでも修正できるといっても,過去記事を見直す人はそういない。かくして,伝言ゲーム的CGMで誤情報が拡散していくという好例だろう。せめてこの記事のように,正・誤両方の単語を載せた情報を投げ込むことで利用者への警告になればと思う次第。
また,今回のミスは,記事執筆者が間違えたのかWeb転載者が間違えたのか不明だが,報道機関の記事は影響が大きいので,チェックを厳密にしていただきたい。*1
たまたま,
月刊 ascii (アスキー) 2007年 05月号 [雑誌]

の「特集:グーグルだけが神なのか? 検索の野望」の中に『「CGM」と「ライフログ』(p.54)という記事があって,冒頭のブログ情報爆発の主犯格”には,メディアのニュース(一次情報)からブログによる二次情報・三次情報・……の拡散のことが書かれている。エントロピー増大の法則によって拡散したものを元の鞘におさめるのは不可能なのだし,科学コミュニケーションという面からも気をつけたいですね,元村さん!*2

*1:もちろん,私のWebページにも間違いがあって時々ありがたい指摘のコメントをもらうが,やはりニュースサイトと個人では影響力が違うだろう。

*2:冒頭の毎日の記事は理系白書ブログで有名な元村さんの署名記事。サイエンスアゴラ2006の記事を読むと,どこかですれ違ったのかも知れない。