有機概念図の情報センターを目指して

1008/11/01に記した11/8-9のSTS学会で明日は京都へ。
2008/10/19に書いた「有機概念図」解説本の再刊の準備が進み18日には見本本ができるという連絡が入ったので(書店に出回るのは今月末か来月になるだろうか),その経緯も学会発表で話すことを思いついて,ネットでの広報を始めることにした。Webで有機概念図について情報を発信し続けてきたことが今回の出版につながったところも少しあるので。もちろん,今回校正原稿を見ながら再認識した初版本のすごさが最大の要因ではあるけれど。


STS学会で使う予定の資料から(編集中)

以下は,昨日いくつかのMLに投稿させてもらったお知らせから。このお陰で今後同書の広報と有機概念図情報の集積をめざす新ページ,

へ,大学・研究機関・企業などから多くのアクセスをいただいている。

 1984年に発刊されて絶版になっていた「有機概念図」の新版が今月中に発刊できる見通しになりました。まだ出版社にもネット書店にも出ていませんが先行案内させていただきます。

◎甲田善生・佐藤四郎・本間善夫,「新版 有機概念図 基礎と応用」,三共出版(2008)
※解説ページ(今後有機概念図の情報を集積します)
http://www.ecosci.jp/ocd/
有機概念図簡易計算機(超入門編)
http://www.ecosci.jp/ocd/calc_demo.html
 → サイエンスアゴラ2008で演示予定: http://www.ecosci.jp/sa08/#honma

 私自身は有機概念図のN88BASICによるプログラム化に続きExcelでの計算シート(近々新版アップロード予定)を作成して公開してきたせいもあり,いろいろな方から質問等をいただき,旧版著書の甲田先生にもいろいろご教示いただいてきた中で,本が入手できないために多くの方にご迷惑をかけてきましたが,出版社のご尽力で予想より早く出版にこぎつけることができました。
 全文チェックのお手伝いをさせてもらい(化合物名など),私が書き足した分は少しですが,Webでの広報担当ということで共著者に入れていただきました。
 上記書籍ページに目次も掲載しましたが,化学分析での利用のほか,応用編では環境化学・食品化学・医薬品など広範にわたり,有機分子の世界を一望できる内容になっています。また付録には有機概念図考案者の藤田 穆 先生による『石炭・石油の起原』など歴史的一文も追加いたしました。

 300ページ近くなったため価格は4200円(本体価格4000円)と高くなってしまいましたが,発刊の際には是非研究室や図書館に1冊備えていただければ幸甚です。


 計算化学が進む中,紙と鉛筆で計算できる有機概念図はユニークな存在で,中国語検索でも多数Web情報が見つかります(解説ページ末尾にリンク掲載)。ほぼ四半世紀経っての再刊ですが,新鮮な目で見ていただけるのではないかと信じてご紹介させていただきます。

なお,これに歩調を合わせて,有機概念図計算用Excelシートの新版を本日公開した。これまで1データずつしか計算できず,複数のデータをプロットするには工夫が必要だったものを30データまで連続して入力できるようにしたものである。新バージョン作成に当たっては,県立新潟女子短期大学実習助手(情報処理)の相馬 稔さんに全面的なご協力をいただいた。ここに記して深く感謝いたします。


最新版による作成データ作例:丸数字表示版(左)とカラーマーク表示版(右)
ダウンロードはこちら
※サンプルに利用したのは環境ホルモンとして疑われている化合物例の上から30データ