こども達と化学物質そしてP450
本ブログ記事,
で紹介した本の内容および関連拙作コンテンツと重なる部分が多い以下の雑誌が出た。
- 雑誌特集『子どもと環境化学物質 ─病が“プログラム”される可能性』,科学,2009年9月号
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- 参考(同誌における過去の関連特集例):1998年7月号『環境ホルモンの現在―未来を取り戻すために』,2002年10月号『環境・健康とリスク−何が課題か』,2004年1月号『毒―環境中の「毒」と人の健康』
- 岸玲子,『低濃度PCB・ダイオキシン類およびPFOSの次世代影響 ─「環境と子どもの健康に関する北海道研究」最近の成果から』
- 斉藤貢一,『微量分析が鍵を握る─PFOS分析例から』
- 佐藤洋,『メチル水銀による生後の神経発達への影響 ─世界と日本の出生コホート研究から』
- 佐々木成子・岸玲子,『遺伝的ハイリスク群への対応を ─喫煙と遺伝的感受性の複合効果による出生体重低下の知見から』
- 大迫誠一郎,『プログラムされる“病”の新たな仮説 ─環境化学物質による代謝系遺伝子の次世代エピゲノム変化』
- 戸高恵美子・森千里,『シックハウス症候群はなぜ減らないか ─解決の道筋をつけるために』
- 堤 治,『ビスフェノールAの汚染と低用量作用』
- 遠山千春,『ダイオキシンの科学,リスク評価,そして政策』
- 高野裕久,『環境汚染物質とアレルギー疾患の増加・増悪』
- 緒方勤,『小児疾患と環境化学物質:遺伝─環境相互作用の観点から』
- 塚本直也・丹藤昌治,『子どもの健康に害を及ぼす環境要因を大規模コホート研究で明らかにする』
- 井上達,『内分泌攪乱化学物質の低用量作用と毒性学のあたらしい課題』
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「科学」2009年9月号(右)
※左は環境ホルモン学会ニュースレター,Vol.12 No.1
(森 千里『環境ホルモンの本質:未来世代への影響』ほか)
冒頭の記事であげたコンテンツを再掲(水俣病は追加)するので特集を読む際に参考にしていただきたい。
- 水俣病
- 環境ホルモン情報 | 環境ホルモンと疑われている化合物リストの例
- 農薬分子データ集 ※Weblio版
- ダイオキシン類の毒性等価係数
- WWFの新規POPs候補物質リスト20
- はっ水剤・難燃剤の生物体内蓄積性(PFOS類,PBDE類,HBCD,リン系難燃剤)
- 発がん性化合物と生体分子
- 抗生物質データ集メニュー | 抗生物質・抗菌剤/耐性菌/院内感染 *追記
- 染料の種類 *追記
- 界面活性剤の種類 *追記
- 代表的な高分子 *追記
- ビスフェノールAが結合したエストロゲン関連受容体γ
- バイオレメディエーションとファイトレメディエーション
- ステロイドホルモンの生合成と代謝
- p.123以降のCYP・P450について:P450部分データ集 | 英語版 ※参考:Cytochrome P450 - Wikipedia
一番最後のCYP・P450(特にCYP1A1)は,上掲写真の環境ホルモン学会ニュースレターも含め,化学物質の生物への影響を考える上で無視できなくなっているエピジェネティクスの視点でも重要な遺伝子・タンパク質群であり,それをタイトルとする書籍の第2版が出たばかりである。初版は2003年で,6年という短い時間で新しい版が出たことになる。
昨日配達された発注本
この中では,3.2『AhレセプターによるP450遺伝子の発現制御』,3.3『核内オーファンレセプターによるP450遺伝子の発現制御』,4.7『発癌性化学物質や薬物の代謝的活性化』が有害化学物質の問題を見る上で重要である。
再三書くけれど,本ブログのタイトルに「こども」の名を冠した理由は,人間と他の生物の現在と次世代に,どのような環境(自然科学的な意味でも社会システムの上でも)を構築し,残すのかをみんなで考えなければ時代だという想いにある。
そのためには生物の世界のしくみをミクロからマクロまで知った上で,そこから多くを学びとることも欠かせないと考える。
13年以上サイトを運営する中で有害化学物質の問題が大きな柱であるが,早期から関心を持ち続けたP450がそのミクロの部分の象徴の1つとして見えてくる。
P450構造例:α-ナフトフラボンを含むP450 1A2(CYP1A2)のデータ例2hi4
(α-ナフトフラボンはCYP1A1の阻害剤でもある)
※トピック分子にもPDBデータ掲載