こども達と化学物質そしてP450

本ブログ記事,

で紹介した本の内容および関連拙作コンテンツと重なる部分が多い以下の雑誌が出た。


「科学」2009年9月号
(右)
※左は環境ホルモン学会ニュースレター,Vol.12 No.1
(森 千里『環境ホルモンの本質:未来世代への影響』ほか)

冒頭の記事であげたコンテンツを再掲(水俣病は追加)するので特集を読む際に参考にしていただきたい。

一番最後のCYP・P450(特にCYP1A1)は,上掲写真の環境ホルモン学会ニュースレターも含め,化学物質の生物への影響を考える上で無視できなくなっているエピジェネティクスの視点でも重要な遺伝子・タンパク質群であり,それをタイトルとする書籍の第2版が出たばかりである。初版は2003年で,6年という短い時間で新しい版が出たことになる。
P450の分子生物学 第2版 (KS医学・薬学専門書)

      1.シトクロムP450概説
      2.P450の分子的性質と反応機構
      3.P450遺伝子:構造と発現調節
      4.動物のP450酵素
      5.植物のP450酵素
      6.微生物のP450酵素
      7.P450研究の参考資料

昨日配達された発注本

この中では,3.2『AhレセプターによるP450遺伝子の発現制御』,3.3『核内オーファンレセプターによるP450遺伝子の発現制御』,4.7『発癌性化学物質や薬物の代謝的活性化』が有害化学物質の問題を見る上で重要である。
再三書くけれど,本ブログのタイトルに「こども」の名を冠した理由は,人間と他の生物の現在と次世代に,どのような環境(自然科学的な意味でも社会システムの上でも)を構築し,残すのかをみんなで考えなければ時代だという想いにある。
そのためには生物の世界のしくみをミクロからマクロまで知った上で,そこから多くを学びとることも欠かせないと考える。
13年以上サイトを運営する中で有害化学物質の問題が大きな柱であるが,早期から関心を持ち続けたP450がそのミクロの部分の象徴の1つとして見えてくる。

P450構造例:α-ナフトフラボンを含むP450 1A2(CYP1A2)のデータ例2hi4
(α-ナフトフラボンはCYP1A1の阻害剤でもある)
トピック分子にもPDBデータ掲載