ペラミビルの特異日(追記あり)
生活環境化学の部屋のアクセス解析をチェックして,サーチエンジン経由の来訪ではキーワードが「ペラミビル」関連の多いことに気付く。早速ニュースを見つけて関連ページに記述を追加した。この記事もその一端。
2009/09/15(21:40時点)
ペラミビル(peramivir)
ペラミビルを含むPDBsumデータ2f10_BCZより
※ペラミビルを含むPDBデータ例:2f10,2htu
メディアの中の分子&明日はサイエンスカフェにいがた開催!
今朝の朝日新聞の天声人語はメタボの話題で,その中に1008/08/29に記したファトスタチン(掲載ページ参照;冒頭画像は再掲)のことが化合物名を記さずに紹介されていた。研究者名が記したので検索すればわかるだろいうという考えもあってカタカナの名称は読者の興味をそぐと判断したのではないかと,ついうがった見方をしてしまう。
に記したように,自作サイト掲載の分子モデルはいろいろなメディア等で利用してもらっているが,テレビに出たものについてはその番組が短命に終わってしまっていて(と言っても2例だけで,出たのは各1回だが),分子モデルが出ると視聴率を下げてしまうのかと被害意識のようなものを感じたりする。
β-エンドルフィン:TBS「探険!ホムンクルス」2003/11/01放映
※参考:探険! ホムンクルス - Wikipedia
p53:テレビ朝日「大人のソナタ|第2回 恋は体に良いって本当?」2009/05/10放映
※参考:大人のソナタ - Wikipedia,2009/05/10記事
テレビCFでも分子の構造式が出てきたりすると目立つし,化学が好きな人以外はどうのように受け取っているのだろうかと,分子のおもしろさを知ってほしいと思っている「分子の裏方」を任じているいる身としてはいつも気になっている。もし拒否反応を示されるとすれば,それは「分子の見方」がまだ定着していないためで,まだまだやらなければならないことは山積していることになる。
第26回サイエンスカフェにいがたゲストのお一人の内田麻理香さんが,同カフェにも科学コミュニケーターとして以下のようなエントリーを書いてくださっていて,とても参考になる。
この「科学」を「分子」に置き換えてお読みいただくのも一興だろう。“『もやしもん』>>「アポトーシス」”という記述があるが,本記事に関して言えば,“『メタボ』>>「ファトスタチン」”なのだ。菌とウイルスが見える少年が主人公の『もやしもん』のように,分子が見える少女の出る漫画がほしいと思ったりする。
ここで,メディアつながりということで,つい昨日昨日読み終えた以下の本の話。
私の眼の届かない広範な世界を網羅してくれている上に,「誰でもメディア」という語をキーワードにブログの優位性などを論じつつ日頃私自身が感じていることを代弁してくださっている部分もあって多くの示唆をいただくことができた。それで,厚かましく冒頭のページを紹介しつつファンメールを出したところ(マイナーな分子という題材を発信し続ける苦労!),思いがけず励ましのメールをくださったばかりでなく,タイトルの中に『個人メディア』という語のある明日のサイエンスカフェにいがたのことを,小林さんご自身のTwitterに書き込んでくれたのである。
- Hiroto Kobayashi (kobahen) on Twitter ※2009/09/11・19時頃に記載(岡本さんのTwitterも呼応)
ちょっとしたメディアミックスということになってしまって,本当にありがたく思っている。
そのおまけになるのだが,第26回カフェの報告を会場の書店のスタッフが書いてくださった。明日のカフェの予告も載っているので,お近くにジュンク堂書店がある方はPDFでなく実物を手に入れていただきたいと思う。
小林さんへのメールには『リアルとバーチャル』のことも書いたのだけれど,多様な手段を私たちは手にしているのだと強く実感する。
バイナップル? バイナップる?
来年公開用のコンテンツ作成の中でJmolスクリプトをまたいろいろ試し,つくった作例からアニメ画像を取得。で,今朝明け方目覚めて思いついたのが本記事タイトル。不斉触媒合成をすることをこういう動詞にしたらどうだろうという思いつきですが,すでに使われているのかも。
BINAP(バイナップ) る!?
※2001年度ノーベル化学賞/不斉触媒合成(Chime版)参照
※分子モデルで見るノーベル賞からもリンク
話はがらりと変わってドワンゴ。この単語は知っている人は知っていますが,知らない人は何かの造語と思うのでしょうね。先日本ブログを見に来たのでその記録を。本社はこんなところにあるんですね。
なかのひと.jpによる本ブログへの2009/08/25の訪問者
こども達と化学物質そしてP450
本ブログ記事,
で紹介した本の内容および関連拙作コンテンツと重なる部分が多い以下の雑誌が出た。
- 雑誌特集『子どもと環境化学物質 ─病が“プログラム”される可能性』,科学,2009年9月号
-
- 参考(同誌における過去の関連特集例):1998年7月号『環境ホルモンの現在―未来を取り戻すために』,2002年10月号『環境・健康とリスク−何が課題か』,2004年1月号『毒―環境中の「毒」と人の健康』
- 岸玲子,『低濃度PCB・ダイオキシン類およびPFOSの次世代影響 ─「環境と子どもの健康に関する北海道研究」最近の成果から』
- 斉藤貢一,『微量分析が鍵を握る─PFOS分析例から』
- 佐藤洋,『メチル水銀による生後の神経発達への影響 ─世界と日本の出生コホート研究から』
- 佐々木成子・岸玲子,『遺伝的ハイリスク群への対応を ─喫煙と遺伝的感受性の複合効果による出生体重低下の知見から』
- 大迫誠一郎,『プログラムされる“病”の新たな仮説 ─環境化学物質による代謝系遺伝子の次世代エピゲノム変化』
- 戸高恵美子・森千里,『シックハウス症候群はなぜ減らないか ─解決の道筋をつけるために』
- 堤 治,『ビスフェノールAの汚染と低用量作用』
- 遠山千春,『ダイオキシンの科学,リスク評価,そして政策』
- 高野裕久,『環境汚染物質とアレルギー疾患の増加・増悪』
- 緒方勤,『小児疾患と環境化学物質:遺伝─環境相互作用の観点から』
- 塚本直也・丹藤昌治,『子どもの健康に害を及ぼす環境要因を大規模コホート研究で明らかにする』
- 井上達,『内分泌攪乱化学物質の低用量作用と毒性学のあたらしい課題』
-
「科学」2009年9月号(右)
※左は環境ホルモン学会ニュースレター,Vol.12 No.1
(森 千里『環境ホルモンの本質:未来世代への影響』ほか)
冒頭の記事であげたコンテンツを再掲(水俣病は追加)するので特集を読む際に参考にしていただきたい。
- 水俣病
- 環境ホルモン情報 | 環境ホルモンと疑われている化合物リストの例
- 農薬分子データ集 ※Weblio版
- ダイオキシン類の毒性等価係数
- WWFの新規POPs候補物質リスト20
- はっ水剤・難燃剤の生物体内蓄積性(PFOS類,PBDE類,HBCD,リン系難燃剤)
- 発がん性化合物と生体分子
- 抗生物質データ集メニュー | 抗生物質・抗菌剤/耐性菌/院内感染 *追記
- 染料の種類 *追記
- 界面活性剤の種類 *追記
- 代表的な高分子 *追記
- ビスフェノールAが結合したエストロゲン関連受容体γ
- バイオレメディエーションとファイトレメディエーション
- ステロイドホルモンの生合成と代謝
- p.123以降のCYP・P450について:P450部分データ集 | 英語版 ※参考:Cytochrome P450 - Wikipedia
一番最後のCYP・P450(特にCYP1A1)は,上掲写真の環境ホルモン学会ニュースレターも含め,化学物質の生物への影響を考える上で無視できなくなっているエピジェネティクスの視点でも重要な遺伝子・タンパク質群であり,それをタイトルとする書籍の第2版が出たばかりである。初版は2003年で,6年という短い時間で新しい版が出たことになる。
昨日配達された発注本
この中では,3.2『AhレセプターによるP450遺伝子の発現制御』,3.3『核内オーファンレセプターによるP450遺伝子の発現制御』,4.7『発癌性化学物質や薬物の代謝的活性化』が有害化学物質の問題を見る上で重要である。
再三書くけれど,本ブログのタイトルに「こども」の名を冠した理由は,人間と他の生物の現在と次世代に,どのような環境(自然科学的な意味でも社会システムの上でも)を構築し,残すのかをみんなで考えなければ時代だという想いにある。
そのためには生物の世界のしくみをミクロからマクロまで知った上で,そこから多くを学びとることも欠かせないと考える。
13年以上サイトを運営する中で有害化学物質の問題が大きな柱であるが,早期から関心を持ち続けたP450がそのミクロの部分の象徴の1つとして見えてくる。
P450構造例:α-ナフトフラボンを含むP450 1A2(CYP1A2)のデータ例2hi4
(α-ナフトフラボンはCYP1A1の阻害剤でもある)
※トピック分子にもPDBデータ掲載
13日のARG岡本さんのカフェが新潟日報の記事に(追記あり)
今朝の新潟日報オピニオン面「風窓」欄に,次回サイエンスカフェにいがたのことが掲載された。ゲストの岡本真さんのご活動やヤフー時代の幅広いお仕事も書いていただいてありがたい限りである。
朝刊記事(□)
※右の本は岡本さんのブログ記事を読んで発注し今朝届いた本
ところで岡本さんは昨日から金沢で開催されている以下のイベントに参加しており,そこには第26回サイエンスカフェにいがたのゲストの内田さんと長神さん,遠方から駆けつけてくれた立花さんと平川さんも集結している。私も行きたかったのだけれど,開催は知っていながらプログラムを知ったのが昨日で,残念ながら参加し損なってしまった。
それにしても岡本さんは科学コミュニケーションの分野でもアクティブで,13日には交流会を含めていろいろな話ができそうで楽しみである。本ブログをお読みになって当日のカフェにご参加くださる方で,交流会にもという方はカフェのページからメール申し込む際にどうぞその件を付記してください(今月9日までに。会費別途で,会場の定員を超えた場合はご容赦ください)。
-
※追記(2009/09/06):STSNJ 夏の学校2009については,Twitterでリアルタイム報告がなされており(一部非公開),岡本さんや立花さんもしっかり書きこんでいる。
Blogopolis探索の続き&最近追加した分子
昨日紹介したBlogopolis,引き続きいろいろ遊んでいる。いつもチェックしているブログはさすがに占有面積がすごい。サイエンスカフェにいがたにお越しいただく(いただいた)ゲストの中で例を挙げると…。
ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) - ブログ版
※第28回カフェ|2009/09/13ゲスト(2009/08/26記事ほか参照)
内田麻理香オフィシャルブログ「カソウケンの科学どき技術どき」
※第26回カフェ|2009/07/17ゲスト(新連載理系なおねえさんはアリですか?開始!;ブログ版)
有機化学美術館・分館
※第9回カフェ|2008/04/19ゲスト(新ブログ科学が変わる、化学が変える。ご担当中)
アクティブさとエントリーへの反響の多さが視覚的にわかって本当に楽しめる。
ところで,有機化学美術館・分館の佐藤さんには,2009/08/23に記した上京の際,首都圏某所で少しだけお会いすることができ,以下の連載中の『化学よもやま話』の別刷りをいただくことができた。
で,ここからは一転分子の話題で,最近サイトにアップした分子データを3つほど紹介。
まずは佐藤さんの別刷りにあった強力な甘味分子ラグドゥネーム。ただし食用には使われない。
ラグドゥネーム(lugduname)
※甘味物質の秘密に掲載
- “この化合物の甘味は砂糖の220,000〜300,000倍にもなる”
次はつい先日のニュースで紹介されたファトスタチン。メタボ関連のニュースは関心が高く,サイトアクセス分析でも今日はファトスタチンをキーワード検索しての来訪が10件以上ある。
ファトスタチン(fatostatin)
※トピック分子に掲載
- いっぱい食べても脂肪抑える化合物発見 京大教授ら(朝日,2009/08/28)
- 上杉志成教授らによるファトスタチン(fatostatin)の発見
最後の分子は連日ニュースが出ている新型インフルエンザ関連。二酸化塩素という名称を聞いた時,頭が混乱しましたがWeb上に情報が多数あり,事典類にもちゃんと出ている当り前の分子であること知り,分子の世界の奥深さと自らの勉強不足を再認識したところ。
二酸化塩素(cycloprop-2-enecarboxylic acid)
※トピック分子に掲載(新型インフルエンザ情報も参照)
- 大幸薬品(4574・東証2部市場) インフルエンザ対策製品の販売が拡大。(証券ジャパン)(毎日,2009/08/18)
- 教室に除菌装置 児童の欠席減少 感染予防に有効?(東京新聞,2009/08/04)
- 二酸化塩素(国際化学物質安全性カード)
- EICネット[環境Q&A - 「なぜ進まぬ二酸化塩素の有効利用」]
- 二酸化塩素 - Wikipedia
- クレベリン(大幸薬品) | 二酸化塩素分子の4つのチカラ
さて,最初のBlogopolisで“分子”を検索すると以下のようになる。分子のいろいろな話題を拾い読みしてもらえるツールとの印象もある。
Blogopolisのこども省
- ブログ検索結果を3D仮想都市に配置する「Blogopolis」(CNET Japan,2009/08/28)
- 開発者・浜本階生さんのブログ記事:ビジュアルブログ検索エンジン『Blogopolis』を公開しました(kaisehのブログ,2009/08/27)
取り急ぎ本ブログの屋根をサイエンスカフェにいがたの看板にしてみました!